ミクロのオリンピック

 オリンピックの発祥の地 ギリシャでは 島々 場所 土地を表すのに ネソス という言葉を使う そのネソスを母源として出来た言葉 ネシアに 小さいと言う意味のミクロを つけたミクロネシア 小さな島々。メラニン色素でお馴染みの黒いと言う意味の メラを付けたメラネシア 黒い島々(島民の肌の色) 何にでも多いと言う意味を持つ言葉 ポリを付けたポリネシア 沢山の島々。これらの言葉からみても ギリシャとは何らかのつながりがあるようである ミクロネシアの人々は おとなしい様で負けず嫌い 見栄っ張りで自分勝手が多い これは勝負師にとって良い条件かも知れない                   
 ミクロネシアにも オリンピックがある 大きいものは 島対抗 そして村対抗 地域対抗や学校対抗 どこまでをオリンピックと呼んでよいのか IOCにでも 聞いてみたいものである

  ある年の村対抗のオリンピックで リーナという娘が水泳の選手になるために 他の娘達と毎日練習に明け暮れていた ミクロネシアには 自然のプール 海があるので 人工プールはない ターンの技術 ましてやとんぼ返りターンなど 見たことも聞いたこともない水泳選手達の集まりである 従って競技も多少違うものが混じっている 自分で用意したボートに監視員を乗せ モリ一本を持って 決められた場所に行き 時間内で魚を獲り 集計所まで戻ると言う 競技は一体誰が見てるの?みたいなものから バレーボール位の石を10個ほど沈めておき 時間内に何個もぐって筏のうえに持って上がってこられるかと言う 湾岸工事を そのままモデルにしたようなものもある 毎日毎日練習していても リーナの泳ぎはいっこうに成果が上がらなかった このままでは予選さえ 出れないかも知れない

 一応?コーチのムンバおばさんが困った・・・ そうだ! 泳ぎが早くなくても良い試合に出ればいいんだ  ムンバコーチが リーナを呼んで言った「あんたサー 泳げない人より泳ぐの遅いからサー 明日から潜水の方行きナ」言われたリーナは残念だったが仕方なく 潜水の方へ行った 潜水の試合はナットポイントで行われる 練習もそこだ 早速視察兼 練習に行ったリーナは 一目見て 「こりゃダメだと 思った」皆 ポナペトップクラスの選手達が揃っている 勝てるわけがない  そこへ昨年優勝のリシベッタが来て「あんたも出る気 無理だから やめときナ」とリーナのハートにぐさりと嫌味で出来たナイフを刺し込んだ リーナはすぐに「誰があんたなんかに負けるもんかぃ あたしに負けて ほえずらかくなよ」と 後ろを向いて 聞こえないように 小さな声で 叫んだ!
 試合が始まった 潜水の試合は 場所を取らないし 何度も出来ないので 一回勝負で決める 選手全員15名が 岸壁に並んだ それぞれに 一応時計を持った係りがついている 
ホイッスルが吹かれた 試合開始だ リシベッタは 真中で潜っている リーナは一番端
リシベッタが見えない 試合開始後30秒位経つと そろそろ何人かが浮上してくる 係りは時間を書いていく 1分前ごろ リシベッタが顔を出した 余裕を持った顔だ その時係りが「未だリーナが上がっていない」と言うと リシベッタの顔が歪んだ 負けた! と思った 1分15秒が過ぎた 係りがおかしいと騒ぎ出した時 岸壁から一人の青年が跳んだ水柱が上がる すぐに青年の声がした 誰かナイフを投げてくれ! 再び潜った青年が 泡を吹いたリーナを抱えて浮いてきた
飛び込んだリーナは底のほうに引っかかって切れた釣り糸を見つけた「これを持っていれば永く潜っていられる」そう思ったリーナは糸を掴んだ だが糸はすべる これを放したら 私は負ける 負けたくない リーナは 左手の親指に糸を結んだ
青年が見つけたとき リーナは 水中で逆立ちした格好で 口からブクブクと 泡をふきながら ブラブラ浮いていたという
 
 結果 リーナは 失格  特別努力賞??を・・・・・・・・・・・・・だった  

   
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